矯正歯科で使われる顎間ゴムとかけ方

顎間ゴム・クラスⅢ

さまざまな矯正用顎間ゴム

顎間ゴム(がっかんごむ)とは矯正歯科治療中に口の中で使う小さな医療用の輪ゴムのことです。顎間ゴムはほとんどの矯正歯科治療の患者さんで使われます。使用する目的はさまざまですが、主なものとして、上下の顎の咬み合わせのズレを是正するためや、上下の歯をよくかみ合わせるために使用します。

ワイヤーやブラケットなどの矯正装置を用いることで矯正していきますが、ワイヤーとブラケットだけでは動かせる範囲が限定されてしまいます、特に咬み合わせが上顎と下顎の間でずれている場合には矯正用ゴムバンド(顎間ゴムまたはエラスティクス)も使わなければならない場合が多いです。

顎間ゴムは常に使いましょう!

この小さなゴムは自分で口の中に使用するため、患者さんのご協力の上に成り立っています。指示通りに使用してくださる患者さんは良好な治療結果が得られやすく、治療期間も短いことが多いです。使用時間が一番大事で、歯を磨くとき以外一日24時間近く使用することによって生理的かつ機能的な力が持続されます。顎間ゴムを外している間に歯が戻っていき、それまで動かした移動量が水の泡になってしまいます。力がかかっていない時間を最小限にするために食事中も使用してください。顎間ゴムは医療用ラテックッスで出来ており、食べても身体には無害で排泄されるだけです。大事なことは指示された位置に少なくとも22時間以上は使用し続けるです。

いつも顎間ゴムを持ち歩き、切れたり外れてなくしたときにすぐに新しいゴムに交換できるようにしてください。早く直したいからといってゴムを二重にかけるのはやめましょう。力が強すぎて歯根に障害が起き、逆に動きが遅くなったり、動いてほしい方向以外の方向に歯が動いてしまうリスクがあります。最初のうちは鏡を見ながら顎間ゴムをかけましょう。慣れてくると鏡を見ないでも即座にかけることが出来るようになります。もし、顎間ゴムがなくなったらすぐ矯正歯科医院に連絡して新しい顎間ゴムの袋をもらいましょう。

ゴムの太さ

この顎間ゴムにはいろいろな大きさや太さがあります。

 
太い輪ゴムほど矯正力が強くなります。当クリニックでよく使用しているゴムは60gという非常に弱いゴムで、そうめんのような細さです。こんな細いゴムで動くのかと不思議です。最新のLF2(low force & low friction)システムでは非常に弱い力で優しく治療することが可能で、2ヶ月で目に見えて動きます。

実際、学生時代に使用していた伝統的なシステムで治療するときは100g~120gを使用するのが普通でした。しかし強いゴムを使用すると2次的、3次的な望まない動きも起きやすくなるので注意が必要だったのです。

ゴムの袋に描かれているイラスト

また、顎間ゴムの袋には分かりやすいイラストやマークがつけられており、メーカーによって異なるのですが、私が使用しているゴムはアメリカナイズされた動物のイラストです。別にイラストでゴムを選んでいるわけではないのですが、イルカは比較的かわいいと思います。

ゴムの形状と使いやすさ

当院では患者さんが使用しやすい形状のものを選んでいます。採用しているメーカーのものは断面がほぼ正方形のため、患者さんがつまみやすく口腔内に使いやすいです。他のメーカーのゴムには平打ち麺のようなものもあるのですが、つまみにくく使用しにくいことと装置に引っ掛けにくいので採用していません。

ゴムの劣化

ゴムは経年劣化すると弾力性がなくなるので治療には使えませんので廃棄しています。色が黄ばんできたり伸ばすとブチブチ切れます。

矯正治療中に自分で使うゴムのさまざまなかけ方

矯正歯科では小さな輪ゴム(矯正用エラスティクス)のかけ方を症状に応じてさまざまに使い分けます。表側からのゴムのかけ方を紹介していますが、裏側矯正でも力の作用はいっしょで違うのは表から掛けるか裏から掛けるかの違いだけです。顎間ゴムは正しい使い方が明確に決まっています。矯正歯科医が顎間ゴムの力が目標とする方向にかかるようにフックをブラケットに取り付け患者さんが自分で出来るように鏡を見ながらかけ方を教えます。顎間ゴムのかけ方によって力がかかる方向が違ってきますので、フックの位置は患者さんごとに異なります。典型的には上顎の糸切り歯から下の6歳臼歯にかけたり、逆に下の糸切り歯から上の6歳臼歯にかけたりします。

また、矯正用エラスティクスにはさまざまな力の強さがあり、先生の矯正治療の考え方、矯正治療システムによってよく使用される力のレベルが異なります。ちなみに当院では60g(通常は100~120g)の弱い力のエラスティクスを良く使います。この記事では、よく使われる矯正エラスティクスのかけ方を紹介します。

3級ゴム

日本人に多い受け口の矯正治療によく使うかけ方で上顎の奥歯から下の犬歯にかけます。このかけ方により上顎歯列は前へ、下顎歯列は後ろへ動いていきます。かけ方のコツは上の奥歯にかけてからゴムを離さないで犬歯にかけるとやりやすいですが自分のやりやすいかけ方でかけてください。

2級ゴム

白人に多い上顎前突(いわゆる出っ歯)の矯正治療によく使用されるかけ方です。先ほどの3級ゴムとかけ方が逆になっていますので、作用する力も逆になります。このかけ方により徐々に上顎の歯列は後ろへ下顎の歯列は前方へ動いていきます。

三角ゴム

犬歯や小臼歯部をよく咬んでいない場合に使用します。いくつかバリエーションがあってワイヤーのサイズが十分ならばV字にかける方法もあります。

台形ゴム

前歯が上下で咬まずに開いている開咬(オープンバイト)といわれるかみ合わせの治療や前歯の咬み合わせをもっと深くしたいとき例えば女性でスマイルラインを強調したいときにも使用します。

まとめ

顎間ゴムとは矯正歯科治療で使われる医療用の小さな輪ゴムのこと。咬み合わせや顎のズレを是正するために使われます。さまざまな種類があり、矯正歯科医によって使用するパワーが異なる。メーカーによって細かいところでそれぞれ違いがあります。この記事で紹介した以外にも、臼歯をより咬ませるゴムのかけ方や交差咬合(鋏状咬合)を治すクロスエラスティクスと呼ばれる特殊なかけ方などもあります。いずれにせよ担当の矯正歯科医の指示をよく守って使うことが非常に大切になります。

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