母乳と哺乳瓶の飲み方の違い~咬み合せと顔立ちへの影響~

赤ちゃんが母乳を飲むときの舌の位置

生理的・機能的な弱い力が習慣的に作用すると歯が動き骨を変える。これは当院が開業当初から一貫して治療に応用してきた医学原理です。成人でもよくない習慣や癖は弱い力がかり筋肉・神経系から骨まで適応して形や内部の骨構造が作用している力を支えるため徐々に変化していきます。小児や乳幼児期は新陳代謝が非常に旺盛ですので変化が数ヶ月で現れてきます。

母乳と哺乳瓶の赤ちゃんの飲み方の違いを比較

母乳の飲み方の特徴ですが、ピンク色で塗ったところが唇で、吸っている時は上唇も下唇も外向きに開いていることがわかります。赤色で塗ったところが舌です。母乳を出す反射が起きないと母乳が出ませんので舌とあごを運動させてミルクを飲みます。一方、通常の乳首の哺乳瓶では唇が外開きではなく内側に丸め込まれることがあります。また、ミルクも唇で飲み口を押すだけで楽にミルクが出るため(特にシリコン製)舌を挙上するための筋力が不足し低位舌になることがあります。

顔立ちや咬み合せへの影響

まず哺乳瓶では唇を内側に丸め込む様子が見られた場合、特に上唇だけが丸められていることが観察された場合、どのような顔立ちや咬み合せへの影響が考えられるでしょう?歯や骨は習慣的な力がかかっている方向に適応していきますので、押される力の方向に前歯(乳歯)は内側に倒れこみ、顎の骨は発育が阻害されます。上の唇が上顎と上の乳歯を押すため上顎の”劣成長”を引き起こします。

低位舌のかみ合わせと顎への影響

次に舌やあごを使わなくても唇だけで楽にミルクが出るということは、舌を挙上しなくても良いということですので、舌が低位のまま哺乳することになります。さらにシリコン製で飲み口が硬い場合はさらに舌が挙上しにくくなるため低位舌を助長します。正常な舌の位置は舌の先端が上顎の前歯の裏の付け根付近にあり、舌全体は上顎の天井全体にぴったりと付いています。一般に低位舌になると舌の先端が下顎の前歯の裏に位置し、舌全体が下顎へと落ち込んでいます。低位舌が習慣化すると咬み合せや顔立ちが健康な見た目から外れてきます。まず、舌が下に落ち込んでいるために上顎の内側から押す力がなくなって上顎の歯並び・顎の前後径、横幅とも狭くなります。これに丸め込まれた唇の力が加わるとより状況は悪化します。

舌が下に落ち込むと下の前歯や下顎が舌で押されるため前方移動していきます。ならびに、舌が正常に持ち上がっていないために気道が狭くなり苦しくなるためさらに下顎を前に出そうとして受け口になっていきます。このように生まれた後の環境が顔立ちや咬み合せの健康に重要です。生活環境が異なれば双子でも顔立ちは違ってきますので。

まとめ

母乳と哺乳瓶では歯と顎が唇、舌から受ける力のバランスが変化するため咬み合せや顔立ちに影響を及ぼす。ミルクを飲むときの唇の向き、飲み口の硬さ、ミルクの出やすさに気をつけて哺乳瓶を活用したい。唇ではさんだだけでミルクが出るタイプの哺乳瓶よりも、飲み口が軟らかく舌で口蓋に押しつけないとミルクが出ないようなタイプを選ぶと良い。

現在のところ上記の条件をすべて満たす哺乳瓶はありませんが、舌が口蓋に挙がりやすいこのような形をした哺乳瓶があります。根元のところも唇が外開きになりやすそうです。これにさらにミルクが出やすい/出にくい、口蓋に押し付けないとミルクが出ないタイプなどのバリエーションがあれば良いです。

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