受け口の低侵襲の優しい矯正歯科治療

受け口の非外科矯正治療

受け口とは

受け口は日本人に多いため矯正歯科ではよくある治療のひとつとなっています。下顎前突といったり三級不正咬合と呼ばれたりもします。受け口の方の歯並びは咬み合わせが反対というだけでなく、がたがたがあったり歯が異常に傾いていることもよくあります。受け口とは下顎の前歯が上顎の前歯よりも前にある歯並びのことです。歯並びの状態は顔立ちにも反映されますので受け口の方は多かれ少なかれしゃくれた顔立ちになってきます。

受け口症例写真1

親知らずのみを抜歯し表側矯正治療でマッスルウィンズ法に則って治療した症例です。

術前(ビフォー)

  

術後(アフター)

  

矯正治療のリスクについて ※費用について

受け口の原因

受け口の原因は、小児期に上下の前歯が生えてくるときに反対咬合になるような方向で生えてたため、前歯で下の顎が前方に誘導されながら成長したことで受け口になる場合があります。

他の原因には、悪い癖、例えば鼻が詰まっているなどの原因から口呼吸になり舌の位置が下に落ち込んでいたりすると、気道が狭くなりますので下顎を前に出して呼吸してきます。この習慣を低位舌といいますがこれが続くと下顎が過度に前で機能して受け口になります。このような好ましくない生活習慣や癖などの機能的で弱い力が続くと筋肉や骨はそれに調和するように変化してきます。このことはなにも子供に限ったことではなく大人でも同じく筋と骨に変化が起きてきます。

受け口などの顎の形は遺伝だからとあきらめている方が多いですが、上記のように遺伝要因よりも悪い癖や習慣などからくる後天的な要因が強いのです。受け口の原因は2割程度が遺伝要因であとは舌の位置、口呼吸など後天的な要因で受け口になります。成人でもこれらの原因の改善が骨を変えるのに必要です。さらに後戻りのしにくさにもつながります。

非外科治療と外科治療

遺伝子に異常があるタイプは顔を見れば分かりますし、病名がつくため大学病院などで手術を併用した外科治療をするべきです。でも安心してください。矯正歯科クリニックを訪れる多くの方は正常レベルの遺伝子をもっていますので、外科ではなしに低侵襲な通常の矯正歯科治療で反対咬合や顎を治療することができます。反対咬合を外科手術に頼らないで歯並びや顔立ちを治療することは最近まで難しかったのです。理由を一言で言うと矯正歯科の伝統的な概念には、筋肉の力にも似た優しい矯正力が骨を作ったり変えていくという概念が不足していたからです。そのため遺伝子に異常がないような方でも多くの反対咬合を手術で治していました。

外科矯正とは上顎と下顎(または下顎のみ)の骨を削って顎の骨を分割し、上下で咬み合うよう顎の骨を移動させて治す治療です。確かに外科手術したほうが顔立ちは大きく変化しますが、美容整形といっしょで人工的な印象はぬぐえない顔立ちになります。また、外科矯正は全身麻酔下で行いますので、全身麻酔や外科手術自体が命にかかわる治療システムです。このため、外科矯正のメリットとリスクを考えてもらった後に患者さんもなるべくなら手術を避けたがることが多いです。ところが、外科手術ほど大きく顔を変えなくとも平均顔に近づけ、もともと持っている自然な自分の顔を生かした非外科の矯正治療があることを多くの患者さんは知らされていません。治療者側に最新の技術と他分野にまたがる医学知識がなければ、重度の反対咬合が手術しない矯正歯科治療でなぜ治るのか患者さんに説明できません。

受け口症例写真2

これも症例1と同様に親知らずのみを抜歯し表側矯正治療でマッスルウィンズ法に則って治療した症例です。

術前(ビフォー)

術前正面.jpg術前横.jpg

術後(アフター)

術後正面.jpg術後横.jpg

矯正治療のリスクについて ※費用について

重度の受け口を矯正治療のみで治療した症例

受け口は外科手術での治療が一般的ですが外科手術には感覚麻痺などさまざまなリスクを伴います。確かに下あごを大きく下げて顔立ちを人工的に変えたい方は手術がよいですが、自然な本来の顔立ちを取り戻したい方は骨切りの手術は避けたいものです。受け口の矯正でたまに見かけるのが前歯を削るか抜歯を行い差し歯で前歯の状態を改善する審美歯科で治療した歯並びです。矯正治療では歯茎の高さをそろえることができるのですが、いきなり差し歯にすると10年前の芸能人の前歯のように一見歯並びはきれいだけど歯茎のラインがそろっておらず残念な治療になっているものをよくみかけます。

私は矯正歯科の技術だけでなく周辺医学の分野の知識・技術を取り込むことで低侵襲の矯正治療だけで子供だけでなく成人の重度の受け口でも通常の矯正歯科治療で咬み合わせや歯並びはもちろん顔立ちやスマイルを魅力的に改善する新しい矯正治療を行っています。

成人の受け口 非外科治療写真

下の写真は30代の女性で大学病院では手術しかないので無理に治療を始めないほうがいいと言われた方です。親知らずだけ抜歯してあとは非外科の矯正治療を行いました。

術前(ビフォー)

治療前の写真では下あごの突出感があり、笑ったスマイル時にも下の前歯が見えています。正面から見ても下唇が前方へ出ている感じがわかります。また、咬み合わせも完全に受け口の咬み合わせです。

術後(アフター)

治療後の写真では下あごが引っ込みしゃくれ感が改善しています。スマイルも上の歯並びが見えて好感度が増しています。正面から見ると上唇のあたりがふっくらと厚みが出て下唇が引っ込み上下の唇の関係が改善されているのがわかります。当然、咬み合わせは正常になっているのがわかります。重度の受け口でも高度な治療技術を駆使することで矯正を行うと非外科で骨を適応させ顎の位置を変え顔立ちやスマイルを整えることができることがわかります。

矯正治療のリスクについて ※費用について

この30代成人女性の重度の受け口の非抜歯での矯正治療を施して咬み合わせはもちろんスマイルの改善と顔立ちを改善した症例もご覧いただければ幸いです。

矯正歯科以外の治療法

矯正治療以外の治療の選択肢としては重度の反対咬合でなければ歯を削ってセラミックなどの差し歯を入れる審美歯科治療があります。メリットは矯正歯科治療ほど期間がかからないことです。デメリットは下顎の骨が上顎よりも前にあるため無理な角度で差し歯をいれる必要があり差し歯が長く持たない、そもそも差し歯は人工物であり破損が将来起こる、神経を取る可能性もあり、歯ぐきのラインは変化しないなどです。紛らわしいのが歯を削って治す方法をクイック矯正などと呼ばれていることで歯を削らない本来の矯正歯科治療と勘違いされやすいことです。

このように受け口の治療を相談しても先生によって勧める治療法は異なります。矯正治療でスマイルや見た目の好感度が上がりその患者さんの人生の成功に貢献するもしないも治療者しだいですので、常に勉強と実践を継続し情熱を持って取り組んでいる先生に診てもらえればそれに越したことはありません。患者さんが、さまざまな治療法から最善の治療法を選択できれば幸いです。

【補足】顎変形症の保険治療について

私はこのように矯正歯科治療だけで治せる技術があるため、どうしても顔を大きく変えたい人しか外科手術をしませんが顎の骨切りを伴う外科矯正についても書いておきたいと思います。、日本では顎が大きく左右にゆがんでいたり、顎が出すぎたりして咬み合わせもズレている人を『顎変形症』と診断します。もし矯正歯科医から顎変形症と診断されたら顎の骨を切る外科手術を伴う矯正治療を保険で行うことが可能です。

顎変形症に使える矯正装置の種類

保険で行う場合は『術前矯正』と言って手術の前に行う矯正治療からスタートします。これは顎がゆがんでいる方向に一時的ですがよりひどくなる状態に歯を動かして手術に備える期間で通常の矯正治療と同様、2年程度かかります。顎変形治療中は歯にワイヤーと装置(ブラケット)がついていて、術前矯正が終わり次第、手術、術後矯正(1年程度)という治療の流れになります。

この顎変形症の保険治療では使える矯正装置が決まっていて表側の装置のみ使用が可能です。裏側矯正は保険の適応ではないのでもし顎変形症で裏側矯正で治療をしたい場合には通常の矯正治療と同じ自費治療でやることになります。

自費治療の場合は矯正治療料金の他に外科手術料金も加算されますのでクリニックにもよりますが大体矯正治療料金の2倍以上かかります。そのくらいの料金を支払っても裏側矯正で顎変形症の治療を行いたいという患者さんもおりますので料金と自分の求める治療が釣り合っているかどうか今一度考えてみてください。

裏側矯正で顎変形症の手術を受けたい場合

もし、顎変形症の治療を裏側矯正でやりたいとなった場合は保険の術式以外にも治療の選択肢が増えます。たとえばサージェリーファースト(surgeryfirst)と言って外科手術を先に行いその後矯正治療で噛み合わせと歯並びを整えていくという方法があります。サージェリーファーストの良い点は術前矯正がほとんどいらないため期間が短縮される、顔貌が先に改善されてモチベーションが上がる、術後矯正も筋肉の付き方が変わるため動かしやすいことがあります。

サージェーリーファーストが可能になった背景には骨を切った後に固定しておく器具(チタンプレート)が浸透してきたため術後の安定性が増したためです。昔は『囲繞結紮』といってワイヤーでくくって止める方法がメインでしたので術後の安定性が悪く術前矯正で噛み合わせを整えてから手術するほうがうまくいっていたのです。

当院でも顎変形症で裏側矯正をしたい方はサージェリーファーストで治療を行っています。顎変形症の治療は矯正歯科医と形成外科医あるいは口腔外科医の知識、美的センス、そしてなにより治療技術に大きく左右されるため私は特定の形成外科医と自費でサージェリーファーストを行っています。

最後になりましたが、顎変形症の外科矯正に伴うリスクでよくあるのが顎や唇周辺の知覚麻痺です。戻ることが多いですが時間がかかる場合もあります。実際始まったら外科医とのコンサルティングもあるため具体的なリスク説明があります。よく外科医の説明を聞いてリスクを理解してください。

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