歯の移植を併用した矯正歯科治療

歯の移植矯正治療術後

歯の移植とは

虫歯やケガなどで抜歯しなければならない歯がある場合、現在は歯科矯正用アンカースクリューがありますので、矯正治療で抜歯スペースに自分の歯を動かして治すことができます。ただ、抜歯スペースが大きいと時間がかかります。例えば、6歳臼歯が虫歯で抜歯しなければならないと歯医者さんから言われた場合、矯正歯科治療で後ろの7番を動かして6歳臼歯の抜歯スペースを埋めることができますが、6歳臼歯のスペースは約10mmもあるため、個人差はありますが移動に非常に時間がかかります。このような場合、インプラントやブリッジをせずに、短期間で抜歯スペースを埋める方法の一つに「歯の移植」があります。

親知らずは埋まっていたり横になっていることも珍しくありませんが、まっすぐ生えている方も多くいらっしゃいます。まっすぐ生えている場合は親知らずを綺麗に抜歯できますので虫歯などでやむを得ず抜歯しなければならない歯の代わりに親知らずを移植をすることができる場合があります。もし口腔外科の先生から移植可能と判断された場合には、移植後に神経の治療をする必要がありますのでしっかり根管治療をしてもらいます。その後、セラミックやジルコニアといった差し歯をかぶせます。

大臼歯だけでなく同種の歯は歯根の形が似ているため移植が可能なことが多いです。例えば、抜歯矯正で抜歯する予定の小臼歯を使って虫歯などで抜歯しなければならない他の部位の小臼歯の部位に移植をすることも考えられます。

歯の移植のリスク

歯の移植はインプラントと異なり、どのくらい持つかわからないことがリスクとなります。10年以上持つ人や数か月でだめになる人もおりますので、よく考えてから歯の移植をしてください。また、移植した歯は根管治療で神経を取らなければなりませんし、移植後にはジルコニアなどの差し歯を被せることも必要になります。

親知らずを移植した矯正治療症例

症例の概要

【術前】

30代の患者さんです。口元の突出ならびに歯並びとかみ合わせの治療を希望され当院に来院された。上下左右小臼歯を抜歯し上下裏側矯正装置で治療した。治療計画に含まれていたが、左下5番根尖部に病巣が見られたため5番と6番近心根を抜歯し、左下8番(親知らず)を期間短縮ならびに正常咬合の確立のため移植を行った。歯の移植は国際医療福祉大学三田病院口腔外科に依頼した。

歯の移植矯正治療術前
歯の移植術前レントゲン

【術後】

矯正歯科治療を約2年かけて行い噛み合わせと歯並び、口元の突出感の改善をした。移植した親知らずは術後も安定していたのでジルコニアクラウンで補綴処置をした。患者さんは口元が後退し、同時に歯並びがよくなり歯の移植による期間の短縮もあって大変満足されていた。

歯の移植矯正治療術後
歯の移植術後レントゲン

【本症例の料金とリスク、期間】

矯正治療のリスク:歯磨きがしにくくなる、歯根吸収が起きうる、裏側矯正装置は舌に当たるため発音に影響が出る、食事に制限が入る、アンカースクリューが脱離する可能性等 詳しくは https://facetalk.jp/risk-orthodontic-tx/ 
費用:平均約120万円 詳しくは https://facetalk.jp/treatment-costs/
期間:2年程度

※矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。

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