矯正歯科治療を早く終わらせる3つの方法と注意点

歯列矯正

矯正治療のスピードを上げるには大きく3つの方法があります。

  1. 患者さんの細胞の若さ
  2. 治療システムや技術・知識
  3. 患者さんの協力度

年齢以上に細胞を老化させない

細胞が若く保たれ新陳代謝能力が高いと成人の矯正治療でも非常に動きが良くなるため治療は平均治療期間より早く終わることが多いです。私の経験では年齢以上の老化を避けるような健康な生活を送っている40代の成人患者さんは体感的に大学生位の治療スピードと変わらないくらいの速さで動いていきます。

逆にタバコや昼夜逆転などのあまり健康とはいえないライフスタイルを送っている患者さんは治療スピードが遅くなる傾向があります。特にタバコは活性酸素が体内で大量発生するため新陳代謝に重大な悪影響を及ぼします。治療スピードを上げるにはまず細胞を老化させないようなライフスタイルを送ることです。ちなみに当院では年齢以上に細胞を老化させない学問である抗加齢医学の専門医として患者さんに抗加齢医学に関する最新情報を提供し、ライフスタイルの改善に役立ててもらっています。

タバコは細胞を老化させ歯の移動を遅くする

22歳の双子の片方が喫煙をし、もう片方が非喫煙者だった場合、40歳時点での見た目はどうなっているのでしょうか?上の2枚の写真が分かりやすく教えてくれます。写真の左側が喫煙をした場合で、歯にヤニがつき、しわが多くなっていることが分かります。一方、右側は非喫煙を通した場合で、歯は白く、しわは浅く、少ないことが分かります。老化には自然な生理的老化と病的老化の2つがあります。生理的老化は生きていれば誰にでも起こるものですが、病的老化は防ぐことが出来ます。

現在、老化の主な原因と考えられているのが活性酸素です。喫煙習慣はこの活性酸素を体内に大量に発生させ病的老化が加速されていき、見た目も老けて見えるのです。

矯正治療の患者さんでタバコを吸われている方、治療途中で喫煙し始めた方はお口の臭いでわかりますが、非喫煙の方とくらべて歯の動きが非常に遅くなります。ニコチンによる血管収縮で組織の血行が悪くなることもありますが、細胞老化、蛋白変性など活性酸素による老化が顕著に歯の速さに現れています。このように歯が動く速さ、生活習慣、老化、肌のキメの細かさは互いに関連しあっているのです。

治療スピードを上げるさまざまな治療法

世界中で矯正治療のスピードを上げるためさまざまな創意工夫がなされています。外科的なものから非侵襲的なもの、はたまた装置に工夫を凝らしたものや新たな装置を加えたものなどさまざまあります。

コルチコトミー/ボーンパンチング

外科的なものにはコルチコトミーがあります。コルチコトミーは歯ぐきをメスで切り歯槽骨を露出させた後、皮質骨を歯科用の回転器具で削ったり穴を開ける方法ですがリスクもあります。外科なので感染リスクがありますし、切った歯ぐきに血流が十分保たれない場合には歯槽骨が痩せ歯ぐきが痩せ歯間乳頭が減りブラックトライアングルができるなどの審美的なリスクもあります。一方、歯と歯の間に縦に3カ所程度穴をあけるボーンパンチングも歯の移動を加速させる方法です。

矯正用ミニインプラント

また、矯正用ミニインプラントも併用されたりしますが、矯正用ミニインプラントはもともと治療が難しい再治療のケースやガミースマイル、咬み合せが傾いているなど従来の方法では外科手術以外に治療不可能だった症例に用いるものです。矯正用ミニインプラントも使い方によっては効率が良いかもしれませんが、非侵襲的治療の観点から当院では必要無い場合には打たない方針にしています。どうしても必要な症例、例えば先ほどのガミースマイルや再治療などでは患者さんに従来の外科手術とのメリットデメリットを説明し同意を得た上で使っています。

ローフォース・ローフリクション

一方、非侵襲的に速く動かす方法として、摩擦を最小限にしつつ生理的な矯正力で治療するLow force & Low friction(LF2)システムをはじめ、最近のアメリカでは歯列全体に振動を与えることなど新たな方法も出てきているようです。この振動を与える方法に関しては非侵襲的な新しい方法として注目しています。

患者さんの協力度

矯正治療は医療者側だけでなく患者さんにも協力してもらわなければスムーズに進みません。例えば口の中に使ってもらう矯正用ゴムを毎日使う、虫歯ができないように指導された方法で歯みがきする、装置が取れてしまわないように食べ物の堅さに注意するなど患者さんの自己管理能力が高いほど治療は早く順調に終わります。幸い私のところでは自己管理能力が高い方が多く皆さん非常にスムーズに治療が進んでいますが、治療が早く終わるのは私を信頼して自己管理してくださる患者さんのおかげでもあると感謝しているのです。

早く終わる矯正治療の落とし穴

以上のように治療を速く進める方法はいろいろあります。そして装置を外す処置自体はあっという間で余剰接着剤の除去やクリーニング・スケーリングといった衛生処置をしてリテーナーと呼ばれる後戻り防止装置をつけて終わりです。早く外したい気持ちは良く分かるのですが早く終わる矯正で気をつけなければならないのは装置を外すのが早ければそれで患者さん自身も満足というわけでもないことです。

治療基準を満たしていない

一番まずいのは最後患者さんの希望に流されるまま機能的・審美的治療基準を満たすことなく早く外してしまうケースです。それでもいいというなら外してもかまわないですが普通はきちんと最後まで治療してほしいと思うものです。

後戻りしやすい

さらに早く装置を外しても動かした歯の周囲の繊維や組織が安定していないため戻りやすいリスクが高まることです。特に顔面口腔・頸部筋などのトレーニングを行った場合には神経・筋ならびに骨の適応を待つ必要が普通はあります。早く外すことのメリットデメリットの説明を最後まで納得してから外すほうが治療を終えた後のことを考えると賢明ではないでしょうか。

まとめ

  • 早く終わる矯正では新陳代謝・技術・協力度が大きく関係している。
  • 審美的・機能的治療基準を満たさないまま外してしまうリスクや後戻りリスクに注意したい。

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