矯正治療後にやった方が良い美容外科手術

Eライン

両顎骨切り手術やオトガイ形成、輪郭形成、人中短縮などさまざまな美容を目的とした手術があります。この記事では美容外科手術のうち矯正歯科治療の後にしたほうが良いもの、先でも問題が出にくいものなどを述べたいと思います。

矯正治療の後にしたほうがよい美容外科手術

口の周囲の美容外科手術

矯正治療の治療プランが口元やスマイルの変化がある治療プラン、例えば歯科矯正用アンカースクリューを併用した口ゴボの矯正治療ガミースマイルの矯正治療などを予定している場合には口周りの美容外科手術は矯正治療後が良いです。

口ゴボの矯正治療では口元が後退し、同時にオトガイがくっきりと現れてきます。そのためセットバック(分節歯槽骨切り)やオトガイ形成、オトガイを含む輪郭形成を先にすると矯正治療後に再度印象が変わってしまうことが予想されます。

ガミースマイルの矯正治療では歯茎が短くなり笑った時に歯ぐきが見えにくくなっていきます。そのため人中短縮術や上唇粘膜短縮術を先に行ってしまうと、矯正治療によって前者は笑っても歯が見えなくなっていく逆ガミーになる傾向があり、後者はもっと上げてガミーを治したいのに粘膜に邪魔されて前歯・歯ぐきを挙上できないということが予想されます。

下顔面の美容外科手術

当院では歯科矯正用アンカースクリューを併用し開咬やアデノイド様顔貌などの面長・下顎後退した顔立ちの方を顔を短く顎を前に出す反時計回りオートローテーションという治療プランを立てることが多いです。さらに上顎から斜めになって顔の非対称・歪みがみられる「カント」を改善するための矯正治療も日常的に行います。このように顎を移動させる治療プランを予定している場合にはフェイスラインを含む下顔面の美容外科手術は矯正治療の後にしたほうが良いです。

開咬やアデノイド様顔貌などの面長な方の矯正治療ではアンカースクリューを用いて反時計回りオートローテーションを行うことがあります※。この場合は下顔面や人中が短くなる方向につぶれていき、同時にオトガイが前にでますのでオトガイ形成で顎を前に出す処置を矯正治療前にしてしまうと反時計回りオートローテーションは制限がかかります。

※私は患者さんに考えうるすべての選択肢の中からフェアに治療法を選んでもらいたいので歯科矯正用アンカースクリューを併用した矯正治療単独の反時計回りオートローテーションの治療プランだけでなく両顎(ルフォー+SSRO)手術も提案します。

反時計回りオートローテーションでは顔が短くなると同時にエラからオトガイにかけてのフェイスラインが変わりますので輪郭3点などでエラやオトガイの輪郭形成を先にしているとこの治療プランが予定されている場合には矯正治療後にフェイスラインがまた変わる可能性があります。

上顎から傾いて顔や顎が非対称になっているカントの矯正治療ではアンカースクリューを用いて上の前歯を地面と水平にまで歯槽骨から移動させて下顎も移動させます※。この場合は下顎のフェイスラインやオトガイの左右非対称性が改善する方向に変化するため、先に輪郭形成やオトガイ形成をしていると矯正治療後に左右差が表れる可能性があります。

※顔の左右非対称の方もアンカースクリューを用いた矯正単独の治療プランだけでなく、両顎手術による治療も同時に提案します。特に斜鼻も気になっており鼻からまっすぐにしたい場合にはルフォー骨切りで骨ごと横に移動させることが有効となることがあります。

ジョールファット除去など顔のたるみや張りが変化する美容外科処置も可能なら矯正治療後を勧めます。

矯正治療前でも問題がでにくい美容外科手術

先ほどとは逆に美容外科手術で問題が出にくい処置は鼻から上の美容外科手術は大丈夫なことが多いです。ただ、隆鼻術など鼻の美容外科手術は口元とオトガイの位置を参考にEラインを作るようプランを立てると思いますので可能であれば矯正治療後が望ましいと思われます。目頭切開とか二重埋没など目の美容外科手術は先にやっても経験上問題がでたことはありません。

矯正治療中における美容皮膚科の処置に関する注意

当院は歯科矯正用アンカースクリューを用いて治療することが多いため顔をマッサージする美容施術はアンカースクリューが頬や口唇粘膜に食い込んで痛むだけでなくアンカーが揺れて外れる原因となりますのでおやめください。例えば、コルギなどの「小顔矯正」は避けてください。ダーマペンも口周りは注意すべきです。

特に「小顔矯正」と称する施術には顎関節をずらすような処置もあるようですが、カント修正や反時計回りオートローテーションなど顎の移動が治療プランに組み込まれている場合に支障が出るためやめてください。

※矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。

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