エラの張った顔を改善する時計回りオートローテーション矯正治療の症例

clockwise_rotation_after_sig

エラが張る原因

4つの咀嚼筋の中で最も強い頬骨から下顎角(エラ)に付着している咬筋が発達してくると、咬筋の肥大とともに徐々に骨が隆起してくるためエラが張ってきます。

咬筋が発達する原因として以下のようなことが考えられます。

  1. 歯ぎしりをしたり咬み合わせが悪く咀嚼効率が悪いため咬筋に負担がかかっている
  2. 普段上下の奥歯が咬んでおり、上下の歯が接触している状態(TCH)
  3. 過度に噛んで食べる習慣やグミやガムなど咬みごたえのある物を好む習慣がある
  4. 筋肥大症や感染などの疾患

矯正歯科の日常診療でよく診るのは疾患以外の生活習慣的に咬筋へ負荷がかかっていることによるものです。日常的に無意識に咬筋の筋肉トレをしているのと同じですのでどんどんエラが発達してきます。

エラの発達を軽減する矯正歯科治療

強度にエラが発達している方は顔の左右の頬骨間の横幅とエラ間の横幅が1:1に近くなり、前歯が深く噛みこんでいるいわゆる過蓋咬合(ディープバイト)が多く見られます。逆に咬み合わせが浅く、面長の方には咬筋の発達は殆ど見られません。

治療にはまず食事の好みやTCH(Tooth Contacting Habit)など原因となっている咬筋への負荷を取り除いてやることと筋緊張をほぐすためのストレッチなど複数の補助的治療を組み合わせて矯正治療していきます。

咬む力が強い場合のかみ合わせは上の前歯に下の前歯が隠れて見えない過蓋咬合になっていることが多いです。その原因は自分の噛む力が強すぎて奥歯がめり込んでいますので顔面下1/3が短くつぶれている傾向があります。この場合の治療は歯科矯正用アンカースクリューを併用してめり込んだ奥歯を本来の高さまで戻してやる矯正治療を行います。そうすることでつぶれた顔の高さのバランスが改善します。この治療プランを「時計回りオートローテーション」といいます。

顔の正面の審美性

一般に平均顔に近づくほど顔は美しく整います。この記事では正面からみて平均顔の顔の高さとエラの張りの基準に自分がどの程度近いかを見てもらいたいと思います。

頬骨の幅に対するエラの幅

頬骨の幅を1としたときにエラの幅は0.7から0.8程度であれば平均的ですが、エラが張っている方は1:1に近くなります。

顔の下1/3の長さ

眉から鼻の下までの長さを1としたときに鼻下からオトガイまでの長さの比率を見ます。女性は1:0.8くらいがよいでしょう。1:1になるほど面長に見えます。咬筋が発達している患者さんは奥歯が圧下されていたり奥歯がすり減っているため下顎が反時計回りに回転してくるため、顔の下1/3が短くつぶれてきます。

咬み合わせの深さ

上下の前歯の重なりの程度は平均的には約2mmです。下の前歯が上の前歯に隠れて見えないほど深いようであれば過蓋咬合だと分かります。

エラが張り顔貌の高さに問題がある方の矯正治療症例

20代の患者さんです。先天的に下顎前歯が2本しかなく噛む力の強さも相まって下顎が反時計回りに回転し下顔面がつぶれてオトガイが前にでてしまっていました。咬む力の強さを反映するエラも発達しておりエラを軽減するよう治療計画に反映しました。咬筋のストレッチや食事指導などで噛む力をコントロールしながら、歯科矯正用アンカースクリューを併用して奥歯を伸ばすことで下顔面の高さを回復し整った顔貌を得ることに成功しました。

術後(ビフォー)

clockwise_rotation_before_sig

この患者さんはかみ合わせの不正だけでなくエラが張っていることと顔面下1/3が短くつぶれて顎が出ていることがお悩みで来院しました。歯科矯正用アンカースクリューを併用して矯正治療単独で奥歯を伸ばして下顎を移動させて治療を完了した症例です。 

術後(アフター)

clockwise_rotation_after_sig

咬筋はストレッチをしたり奥歯を伸ばして咬合高径を上げると咬筋が伸びて薄くなりエラが改善します。また、下顎の時計回りの回転を行い平均的な位置まで回転させたため、エラが強調されなくなっています。スマイルも術前と比べてちゃんと前歯が見えるようになり好感度が高いスマイルを実現できました。

【本症例の治療に関するリスク、期間、料金について】
20代、噛み合わせが深く顔だちも顔面下1/3がつぶれて短くなっていることも気にされて来院。いわゆる過蓋咬合(ディープバイト)。先天的に下顎前歯が2本しかなく噛む力の強さも相まって下顎が反時計回りに回転しオトガイが前にでてしまっていた。噛む力を反映するエラも発達しており治療計画に反映した。
咬筋のストレッチや食事指導などで噛む力をコントロールし、表側矯正装置にて歯科矯正用アンカースクリューを併用して下顎の時計回りの回転を行うことで下顔面の高さを回復し整った顔貌を得ることに成功した。

矯正治療のリスク:歯磨きがしにくくなる、歯根吸収が起きうる、装置が頬に擦れて違和感が出る、食事に制限が入る、アンカースクリューが脱離する可能性がある等 詳しくは https://facetalk.jp/risk-orthodontic-tx/
費用:平均約100万円 詳しくは https://facetalk.jp/treatment-costs/
期間:3年程度

※矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。

関連記事

  1. Eライン

    顔の審美性について

  2. スマイル女性・トップ画像

    笑顔の効果:社会的に得する見た目の重要性

  3. 下顎を前方移動させ筋肉・神経系を適応させた矯正治療

    小さな下顎を改善:「顎なし」患者の矯正治療

  4. 矯正用アンカースクリュー・ミニインプラント

    アンカースクリューを使用した矯正治療のメリットとデメリット

  5. 妊娠中の矯正治療

    授乳中・妊娠中の矯正歯科治療について

  6. 矯正治療

    小児と成人の矯正歯科治療の違い

PAGE TOP