成人の矯正治療でもワイヤーなどで歯に矯正力をかけると子供と同じように動いてきます。現在、矯正治療は子供だけではなく30代、40代の成人の矯正患者さんが多くなっています。そこで、この記事では子供と成人の矯正治療を行うにあたって違いを解説していきたいと思います。
細胞の若さの違い
成人の矯正治療と小児期の矯正治療との1つ目の大きな違いは細胞の若さからくる治療スピードです。子供は成人と比べ歯の移動だけでなく、顎を動かしたときも早期に筋・神経系をはじめ歯や骨が適応します。ただ、30代40代の成人患者さんでも健康なライフスタイルを送っている方は大学生くらいの患者さんと比べてもそれほど治療スピードは落ちないと感じています。さすがに10代の患者さんは成人の2倍くらいの圧倒的速さで動きますが歯・歯根さえ残っていれば成人でも矯正治療は可能ですので安心してください。
ライフスタイル上の注意点としては特にタバコが治療スピードを落とす重大な要因となります。タバコに含まれているニコチンの血管収縮作用で歯槽骨に酸素と栄養が行き渡らないため、矯正歯科治療に必要な歯槽骨の吸収と添加という新陳代謝機能も低下し治療スピードが遅くなります。
協力度の違い
成人矯正と子供の矯正の2番目の違いは協力度の違いです。例えば歯みがきを丁寧にやり矯正用のゴムを忘れず使ってくださるのは成人の患者さんに多いです。この理由の一つには成人の矯正患者さんは本気で自分で美しくなりたいと思って自分のお金で治療費を払っていることがあります。もちろんよく協力してくれる子供さんもたくさんおりますので一概に言えませんが、子供は一般にご両親が顎や歯並びなどを気になさって治療開始する場合が多いので本人の治療意思とは違っていたりします。こうなると協力度は下がってしまい、その結果、矯正治療中の歯磨きを丁寧にやらないで虫歯になったり顎間ゴムを指示通り使用してくれず治療がなかなか進まないということにつながってきやすいのです。このように子供より成人から始める矯正治療のほうが矯正治療にむしろ有利な場合があるのです。
装置の好みの違い
3つ目の違いは成人患者さんは目立たない装置を好むことです。接客業などに従事されている方は特にこの傾向が強いように感じます。一方、子供の矯正では裏側矯正を選択する方は稀で、表側の装置でも良いという場合が多いです。このようなことから成人は表側矯正では白いワイヤーに透明な装置の組み合わせか裏側矯正装置などの目立たない装置を選択することが多い傾向にあります。