床矯正の矯正歯科治療でどこまで治るのか?

床矯正装置・拡大床

床矯正とは?

最近、床矯正という言葉を知っている方も増えてきました。そこで床矯正とはどういうものかその治せる範囲やリスクについて一緒に考えていきたいと思います。

拡大装置

拡大床矯正装置

下あごを前に出した小児矯正症例治療前・正面・口腔内

将来乱杭歯が予想される

床矯正とは取り外しができる矯正装置で、プラスチックの本体にバネやネジなどを組み込んで歯を動かしていくものです。床矯正装置は主に小児矯正で使用されることが多く、よく使われる拡大床矯正装置は生え変わりの時期に歯の乱杭歯が予想されるときに拡大して永久歯がすべて入りきるように広げる装置です。図のピンクの部分がプラスチックの本体で、真ん中に拡大用のネジが埋め込まれており、これをまわすことで歯列を広げていきます。

床矯正だけで治るのか?

床矯正に関する質問で多いのは、『床矯正装置をワイヤーの矯正装置の代わりに使用して矯正治療ができますか』というものです。結論から言いますと、ワイヤーの矯正治療の代わりにはなりません。その理由は大きく3つあります。

  1. 床矯正装置では歯は傾斜移動、つまり歯が傾くようにして動く
  2. 床矯正装置では一本一本の歯をコントロールすることが難しい
  3. 床矯正装置だけでは矯正歯科の一般的な咬み合わせや歯並びの基準からみて満足のいく治療結果が得られることはほとんどない

ことがあります。

床矯正装置のメリット

床矯正のメリットとして考えつくものを挙げると、

  1. 取り外しなので口腔内の清掃がしやすい
  2. 顎の成長をコントロールする装置がある
  3. 特に子供に受けが良い(あまり嫌がられない)

などでしょうか。

床矯正装置は伝統的なリテーナー(ホーレーやサーカムタイプ)でも保定時に使用されますのでこの記事では対象外で述べません。ここで述べるのは、あくまで床矯正装置だけで治療しようとするときのメリット・デメリットです。次に、床矯正だけで成人を治療し続けたときどうなるのかについて述べていきます。

床矯正だけしているとどうなるか?

床矯正で拡大された歯列

成人の矯正歯科治療では床矯正装置だけ使って治せるものではないため、ワイヤーを使った矯正治療と併用して使用されるのが通常です。当院でも床矯正単独で治療を受けた成人患者さんの再治療を何回か経験しています。写真は他院で床矯正だけで治せると言われ数年間も拡大矯正装置で広げられた患者さんの正面からみた歯列です。特徴的なのは床矯正の多くは歯列の拡大をしますから上下の臼歯が土台となる歯槽骨から飛び出て外側にハの字に傾いており、患者さん本人も感じていますが全く咬みません。さらに臼歯の傾斜の左右差も生じるため下顎の歪みも生じ再治療にはワイヤーを使った矯正治療でも高度な技術と知識で改善しなければ患者さんの満足は得られなくなります。

もう一つ、写真からもわかりますが、床矯正で無理に広げられた場合、咬まないだけでなく小臼歯や臼歯の頬側の歯肉が下がり歯根が露出し始めるため知覚過敏や見た目の問題も生じます。

まとめ

特に成人患者さんの矯正歯科治療において、床矯正治療だけで満足のいく結果が得られる場合というのは非常にまれです。ちなみに、このようなことから当クリニックでは床矯正単独での矯正歯科サービスは提供しておりません(小児矯正のぞく)。

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