口元の老化と抗加齢医学

口元の老化

抗加齢医学(Anti-aging medicine)は比較的新しい医学で論文などから得た知識を自ら実践するエキサイティングな学問です。私が抗加齢医学に興味を持ったのは、矯正歯科治療で歯の移動をはじめ歯槽骨や表情筋・咀嚼筋、顎の骨や顎関節の変化がありますが、年齢を重ねてくると歯が動くスピードや治癒の速さが個人差が大きいことと関係があるのではないかと考えたからです。

矯正治療のスピードは細胞が若く維持されているほど速くスムーズになります。年齢以上に不要な老化を抑えるための基本はまず食事・運動・睡眠・メンタルの生活習慣の改善です。生活習慣の違いによって一卵性双生児であってもその遺伝子の状態を変え顔かたちまで変えていき、見た目や寿命までも変わっていくことが知られています。

見た目が若い方が長生きする

一卵性双生児でも見た目が若い方が長生きする

矯正歯科における抗加齢医学の応用

この抗加齢医学に基づいて食事やサプリメントのアドバイス、口元のハリや頬の”こけ”、たるみ改善のスマイルトレーニング、表情筋トレーニングをはじめとした顔や矯正歯科に関連した指導を当院では提供います。当院で矯正歯科治療を受診されたことのある患者さんには必要に応じてアドバイスしております。

また、細胞のガン化は老化の原因である活性酸素によるDNA変異の長年の結果であり、老化細胞の一つの行きつく先になります。当院で癌対策に貢献できることとして口腔癌を早期発見したいと考え、口腔内粘膜をブラシで擦って粘膜細胞を集め検査機関に送り癌化していないかどうかを調べる細胞診検査(LBC法)も行なっております。気になる部位がある方はお気軽にご連絡ください。こちらはどなたでも受けられる検査になります。

口周りの老化

ほうれい線をはじめ顔の鼻から下は老化による変化を感じやすい部位です。ほうれい線の他に、鼻の下が伸びたり口角から下に下がるマリオネットラインと呼ばれるシワや唇の形態にも変化が現れます。この記事では唇の老化とその予防について解説します。

唇の形

若いころの唇は立体感があり鼻の下の人中(鼻の下の溝のこと)も明瞭で、いわゆるキューピッドボウ(天使の弓)状になっています。それに対して老化した口元は、人中が薄くなりのっぺりとした感じになります。上唇のキューピッドボウの凹凸がなくなり、唇を引き上げる表情筋や弾性繊維の衰えから重力に対抗しきれず鼻の下や上唇、下唇ともに垂れていきますし、口角も下がる傾向にあります。

また、経年的な奥歯の摩耗や歯を失うと、咬み合わせの高さが減少し、下顔面がつぶれたようになり唇が横にのびてきます。

口元の老化対策と治療法

 

紫外線による光老化でシワが増えるのを抑えるため日傘やつば付帽子の着用、日焼け止めやファンデーションの活用があります。また、活性酸素を抑えたりコラーゲン産生にも有効なビタミンCを摂取することも唇の老化対策に良いと思います。

ボタンプル法などで口輪筋や上唇挙筋など表情筋を鍛えることは口元を引き締める効果があり、顔のたるみ改善が期待できます。2013年の日本矯正歯科学会で拝見したポスター発表では口輪筋トレーニングをやめると1週間程度で元の筋力に戻ってしまうと報告しているものもありましたので、なるべく長く継続して行うことをお勧めします。

奥歯の摩耗や喪失による下顔面のつぶれ防止には、摩耗した奥歯に樹脂(レジン)を少量添加して高さを回復したり、インプラントなどを入れて歯がない状態を少しでも短くすることです。咬む回数が多すぎたりグミなど咬みごたえのある食べ物を好む方は咬筋が発達し奥歯の摩耗も速いので前歯のかみ合わせが深い場合には注意した方が良いでしょう。これらに加えてつぶれた顔の高さを回復する矯正歯科治療も有効な場合があります。

矯正歯科で口元の審美性への影響を考えずに軽度の叢生程度で抜歯矯正を行うと引っ込みすぎてしまい人工的な老人様顔貌にしてしまいます。そのため矯正歯科治療で抜歯矯正をする際には顔の審美性を必ず考慮する必要があります。当院では口ゴボや出っ歯を治療する際は抜歯して歯科矯正用アンカースクリューも併用しながら患者さんの意見を聞きながら口元を後退させていきます。

参考文献

  1.  New England Journal of Medicine

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