表情筋トレーニングと咀嚼筋トレーニング

表情筋の走行

表情筋トレーニングに期待される効果

表情筋の衰えてくると頬やのどの脂肪がたるみ、ほうれい線、マリオネットライン(ブルドッグライン)、口角が下がるなど顔面の組織が重力に負けて下へ下がっていきます。重力に負けず顔の老化防止を実践するにあたり最もとっつきやすいのがこのボタンプル法です。

また、口元の突出がある方やオープンバイトなどで口呼吸してきた方などは矯正治療後にこのボタンプルを必ず教えています。なぜなら口呼吸してきた方は口輪筋という唇を閉じる筋肉が弱く力のない感じになっているからです。ボタンプルをさせると唇の筋肉がつき厚みがまして唇にハリがでてきます。

口輪筋を鍛えると表情筋も鍛えられる仕組み

ボタンプルという方法は表情筋トレーニングの中でも安価で簡単に材料をそろえることができるだけでなく効果も高い方法です。伝統的に矯正歯科治療で子供の口呼吸を防止するために口輪筋のトレーニングに使われていた方法です。

口の周りをトレーニングするとなぜ表情筋を鍛えることができるのでしょう?それは下図のように口輪筋には皮膚を上にあげる“挙筋”をはじめ多くの表情筋がくっついているためで口輪筋を介することで表情筋全体をトレーニングすることができるのです。表情筋トレーニングも筋トレですので無理をしないで毎日行うことで最大のトレーニング効果が得られます。風呂上りの血行のよい時に行うと効果的です。

実際にボタンプル法をしてみる

用意するもの

  1. 大き目のボタン
  2.  太めの糸

使い方

1. ボタンと糸を上図のように組み合わせます。

 
2. 下図のように唇だけでボタンをくわえます
 
 
3. 糸を引っ張り唇に力がかかるようにします
4. 外れてしまう力の約6割の力がかかるよう調節し5秒間保持します
5. それを5セット繰り返します
6. 左右斜め方向にも同様にひっぱります(かなり効果的な負荷がかかります)
 

当院の矯正治療の診断では首のラインも診ます。首のラインはすっきりしている方、たるみがかっている方などさまざまです。私は矯正歯科だけでなく抗加齢医学の知識もあるので、首周りのたるみと解消法について書いています。少しでもお役に立てれば幸いです。

首周りがたるむ原因

次は首周りのたるみについてみていきましょう。首周りのたるみには以下のような原因があります。

  1. 肥満で脂肪がついた
  2. 加齢とともに皮膚の張りがなくなってきた
  3. 舌ならびに舌骨の位置が下がっている
  4. 頚部筋や表情筋などの筋肉がたるんでいる

この記事では矯正歯科と関連のある3番と4番の原因にしぼってアゴのたるみの解消法について解説していきます。

舌の位置が下がっている

首の形(ネックライン)に最も大きな影響があるのが舌骨の位置です。私が矯正歯科治療で必ず診るのが正常な鼻呼吸、舌の位置です。

舌骨と鼻呼吸

舌は根元で舌骨とつながっており舌骨からオトガイ方向へも筋肉が走行しています。この舌骨の位置が下がっているとあごのラインが不明瞭になってきます。そこで舌骨を上に引き上げるトレーニングをすることでアゴのラインをスッキリさせることが出来ます。舌の正常な位置は当院の矯正治療でも鼻呼吸の確立とともにフェイスラインの改善に必要な前提条件です。舌骨が下に下がっている方は舌骨を持ち上げるだけの筋肉が弱ってしまっているため舌を天井にくっつけることさえ難しいと感じます。

舌筋トレーニング

そこで舌も舌筋という筋肉でできていますからトレーニングで鍛えると筋トレ効果があります。トレーニング法はまず舌の先端をスポットと呼ばれる上の歯と歯茎の境目に当てながら舌全体を天井に密着させるようにします。普段は口を閉じて舌を正常な位置を保ち鼻呼吸をして過ごしましょう。最初は周囲の筋肉が弱っている為つらいと感じますが、慣れてきたらタブレットガムを噛んでやわらかくし、図のように平らに天井に押し付けるガムトレーニングで負荷を強化しましょう。

頚部筋や表情筋がたるんでいる

普段使われない筋肉や加齢とともに筋が衰えてくるため、たるみは皮膚の下の筋層が大きく関係しています。

舌骨上筋の衰え

舌骨からオトガイにかけて走る筋肉を舌骨上筋といいます。この筋肉は口を開ける時や舌の運動などで働き“のど”の位置にある深層筋です。あごが痛くならない程度に開口するトレーニングで鍛えられますが先ほど述べたガムを使用して舌を天井に密着させるトレーニングでもよく鍛えられますので一石二鳥です。

表情筋の衰え

アゴのたるみにかかわりの深い表情筋として広頸筋があります。この表情筋はオトガイのあたりからのどの辺りに顔の浅い層に広く薄く分布しています。表情筋の特徴は筋肉の端が骨についていないことですので、図のように広頸筋をトレーニングする際には一端を固定する必要があります。まず首に手を置き口を「イー」の口をします。そのままゆっくりと頭を前後左右に回転させ広頸筋トレーニングを行っていきます。

咀嚼筋トレーニング/ストレッチ

咬む力が弱い場合は咀嚼筋トレーニング

矯正患者さんの中には噛む力が弱い人もいて、聞くとあまり噛まないで飲み込むことが多いと言います。咀嚼筋が発達していない人は顔にも現れてきます。あごがシャープで顔が縦に長く面長になってきます。

咀嚼筋の中でもっとも強力で、かみしめるときに働く筋肉である咬筋が発達していると、その強大な筋肉を支える骨(下顎角部のエラ骨のこと)が隆起してきます。咬筋はエラに一端が付着していますので、咬筋が発達している人はエラが発達してたくましい印象になってきます。逆にあまり噛まない人はエラが退縮してほっそりとした印象になってきます。また、あまり噛まないので臼歯が通常より伸びてきて面長になり、前歯が開いてきます。前歯が開いており麺類が噛み切れない咬みあわせを専門用語で開咬(オープンバイト)といいますが、多くのオープンバイトの方の顔だちは咬む力が弱く咬筋が発達しておりません。このような顔立ちや咬み合わせの人には主に咬筋を鍛える咀嚼筋トレーニングが有効です。このトレーニングもご自分でできますので自分は当てはまると思う方は鏡を持って練習してみてください。

  1. 舌の先端をスポットにつけて、頬~エラの部分に指先を置く。
  2. 奥歯を噛み締め、指先から伝わってくる筋肉(咬筋)が収縮している様子を実感する。
  3. 舌の先端をスポットにつけたまま、噛み締めをやめリラックスする。
  4. これを5回繰り返す。

ガム咀嚼やガムを噛み締めることでも咬筋は鍛えられます。このトレーニングをバイトトレーニングと呼びます。咬筋の発達度合いに左右差がある場合には発達していない側で咬んでください。

咬む力が強い場合は咀嚼筋ストレッチ

いわゆるエラが発達した顔立ちやかみ合わせが深い過蓋咬合(Deep Bite)の患者さんは一般的に咬筋が発達しています。このような方は噛み応えのある食べ物が好きなことも多く食事の指導もしないと改善しませんが、その食事指導とともに咬筋のストレッチをしてもらって咬筋の緊張が緩和していきます。

私が指導する咬筋のストレッチはお風呂に入りながら口を開けて咬筋が延びるようにするストレッチです。ストレッチは血行が良い時にゆっくり筋肉を伸ばすのが基本ですのでお風呂でやるのが時短と効果の面からも有効です。口を大きく開けて5秒のばし少し休んでからまた繰り返し5回くらいストレッチするとよいでしょう。ストレッチとともに指2本程度を伸びている咬筋に対して横にあてて軽くマッサージするのも良いかと思います。

まとめ

  • 加齢で表情筋が衰えると顔の組織は重力に抵抗できずに下へたるんでくる
  • 顔のアンチエイジングで最もはじめやすいのがボタンプル法による表情筋トレーニング
  • 筋トレですので無理せず毎日やりましょう
  • アゴのたるみは舌・舌骨の位置、頸部・表情筋の衰えに深い関係がある
  • 舌の位置を正常にすることで舌骨が上に持ち上がりネックラインもスッキリする
  • 表情筋をトレーニングする際には筋の一端を押さえながらトレーニングする
  • 咬む力が弱いオープンバイト(開咬)の方はガムなど噛み応えの良いものを噛んで咬筋をトレーニング
  • 咬む力が強いディープバイト(過蓋咬合)の方は逆に咬筋をストレッチ

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