小児期の出っ歯の矯正歯科治療について

下あごを前に出した小児矯正症例治療前・右・口腔内

出っ歯は事故で前歯を折りやすい

前歯が出ていると唇が閉じにくくなるため口呼吸が持続しやすくなるだけでなく学校やクラブ活動などでスポーツなどで転んだりボールなどがぶつかって前歯が欠けてしまうリスクも高くなってしまいます。さらに口元が出ていたり下顎が引っ込みすぎていたりして見た目も他の仲間と異なることに気づきやすいため、ご自身が気になったりからかいの対象にもなりえる大切な問題でもあります。

出っ歯の分類

  1. 歯だけ出ている場合
  2. 下あごが引っ込んでいる場合
  3. その両方

前歯が突出して出ている

歯列全体が前に突出していたり前歯1本だけ出ている方もいます。いずれにせよ前歯が出ていると下唇が上下の前歯に挟まりやすくさらに下唇の力で上の前歯を押すため出っ歯が悪化しやいです。一般に前歯が出ている場合には上唇がもっこりした感じになるため口元の突出感があります。小児矯正の治療に関しては成長期で乳歯が残っているときには拡大装置で広げ必要に応じて乳歯の抜歯もして上顎前歯を下げることができます。 小児ではない中学・高校生で永久歯が完全に揃っている年齢では口元を下げる為に歯列全体にワイヤーをかけます。口元を引っ込めるため小臼歯(糸切り歯の後ろの歯)の抜歯も必要になることもあります。

顎が小さく後退している

一方、下あごが小さく後退しており上の前歯が突出しているケースは白人に多いのですが、日本人にも一定数おります。見かけ上出っ歯に見えますが下顎が後方に位置して相対的に上の前歯が前方に位置していますので前歯自体はあまり突出していないことも多いです。下顎を前に出すツインブロック装置などを使い、下あごの位置を前方で適応させる矯正を行うことで側面のフェイスラインの改善をおこないます。 一般に下顎は上顎よりも長く成長し続けますので下顎が小さいかどうかを判断するには小学校低学年ではわかりにくく、小学校高学年~中学生くらいになって段々明らかになってきます。特に男性は20歳前後まで下顎が伸びる人もいます。下顎が最も成長する時期は小学校高学年から中学生ぐらいのいわゆる第2次成長期で下顎を前方に適応させて顔立ちを改善するには最もよい時期となります。成長期で下顎の後退が重度の患者さんにはツインブロックという取り外し式の小児矯正の装置を使います。

ツインブロック装置

この装置は日常生活でもできるだけ快適に使えるよう前歯に金属が露出せず、しかも装置装着時点から下あごが前方に位置して顔立ちが改善するため治療に対するモチベーションをあげやすいという特徴を持っています。ツインブロック装置は取り外し式の装置で、顎の筋・神経を前方位で適応させ年単位で骨の適応を図る治療ですので寝ているときはもちろん食事や学校生活でもできるだけ長時間使用することが大切です。

出っ歯で下顎が引っ込んでいる顔立ちを整える小児矯正治療例

装置を習慣的に使っていると下顎の筋肉と神経系が前方に適応し始め装置をつけているほうが楽になってきます。ツインブロックで下顎ごの位置を改善した成長期の症例もご覧ください。指示通りに使用すれば装置を外した後でも下あごが前方で適応し側貌が改善しているのがわかります。こうなると前方位で顎関節に骨が添加して下顎は下がらなくなります。
術前(ビフォー)
     9歳5ヶ月の女性患者さんです。出っ歯が気になるために矯正治療を希望されました。重度の上顎前突のため口が閉じづらく普段から口が開いている状況でした。下唇からオトガイにかけてのSラインも深いことが観察できます。小児矯正治療と成人矯正の2段階の治療を踏まえた治療となりました。 下あごを前に出すことで特に小児は顎関節に骨が添加して変わっていきます。抜歯はせず、下のあごを前に出し、出っ歯を解消させるために”ツインブロック“という下あごが前方で機能するような装置を作製し、機能と神経・筋肉を安定させました。こうすることで成長期の旺盛な新陳代謝を最大限活用しながら、顎の骨自体が変化して整った顔立ちに変わることを期待しました。2期目の成人治療に入ってからも頸部筋のトレーニング指導を交えながら弱い生理的な力で動かす矯正治療をしました。
術後(アフター)
    12歳11ヶ月で機能と筋肉、顎骨が安定したと判断しましたので装置をはずしました。唇を無理なく閉じることができるようになり、鼻での正常な呼吸が確立しました。出っ歯は解消され、下あごが前に出て顔立ちや機能が改善したことがわかります。 矯正治療のリスク:歯磨きがしにくくなる、歯根吸収が起きうる、装置によっては発音に影響が出る、食事に制限が入る等 詳しくは https://facetalk.jp/risk-orthodontic-tx/ 費用:小児矯正として平均約40万円、二期治療として平均40万円の合計80万円程度 詳しくは https://facetalk.jp/treatment-costs/ 期間:小児矯正の期間を含め5年程度 ※矯正治療のリスクについて ※費用について ※矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。

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