ガムを噛むことのメリット
ガムを噛むことは良い面も悪い面もありますが、この記事ではまずガムを噛むことで得られる良い面をお伝えします。ガムを噛むことは集中力を高めたり、虫歯になりにくくしたり、食欲を抑えるというメリットがあります。さらに顔立ちが面長で前歯が開いて開咬になっている方はガムを噛むことで時間をかけて改善することができます。
集中力と認知能力
ガムを噛むことで集中力と認知能力、記憶力が高まります。ガムを噛みながら勉強すると記憶力、集中力を高まるのでテスト期間中に応用してみるのも良いのではないでしょうか。また、年取ってから認知症にかからないためにも今から自分の歯を大切にしてください。
虫歯
虫歯は”ストレプトコッカスミュータンス菌(以下ミュータンス菌)”という虫歯菌が砂糖を食べることで、代謝物として強い酸を発生させ、歯を溶かしていくために起きます。このため、虫歯にかかりにくくするためには虫歯になりやすい砂糖を含むものをなるべくとらないことが一番の方法ですが、虫歯にかかりにくくするためにキシリトールガムをかむ方法もあります。
ガムをかむことで唾液が分泌されやすくなります。唾液には溶かされた歯の表面を再石灰化してくれるミネラルを含んでいます。また、唾液が十分に分泌されると、緩衝作用をもっているため口腔内の酸性度を下げたり、唾液の流れそのもので虫歯になりにくい環境にしてくれます。
甘味成分がキシリトールで出来ているとキシリトールはミュータンス菌が利用できません。このため強い酸を放出できず、菌の数も増えにくくなるので虫歯になりにくいのです。ただ、キシリトールがさまざまな商品名で売られていますが、あまり食べ過ぎるとおなかを下してしまいますのでほどほどに。
食欲と摂取カロリー
肥満解消には食事に気をつけ運動をすることが一番の方法ですが、ここでもガムを噛むことが役に立ちます。食事の前にガムを咬むことで満腹中枢に働きかけ食欲を抑え、摂取カロリーを制限する効果があります。
顔立ちと開咬
前歯が開いているため、ものが噛み切れない咬みあわせを開咬(オープンバイト)といいますがそのような方は高確率で面長の顔立ちを持っています。噛む力が弱く、噛むための筋肉が発達していないので顎も痩せており面長になるのです。子供であれば良く噛んで食事してもらうかガム咀嚼を指導するでしょう。成人の患者さんにはガムを噛む訓練をしてもらい舌の位置を正常にしながらワイヤーをかけて矯正していきます。個人差がありますが、機能が正常化して半年以上経つと筋肉や骨の形が変わってくるのです。やはり子供のほうが適応が早く矯正治療でも効果が出るのが早いですが成人でも理屈は同じなので治療への応用が可能です。
ガムを噛むことの悪影響
キシリトールが甘味料としてガムに使用される前は虫歯菌(ミュータンス菌)の栄養であるショ糖をはじめ甘味料が飴よりも長く口の中に停滞するのでガムは虫歯になりやすいとされていました。現在、キシリトールはミュータンス菌の繁殖を抑え酸を放出させにくくすることで虫歯になりにくい甘味料としてさまざまな商品に使用されています。しかし、このようにキシリトールが一般的になった現在でもガムを噛むことに対する悪影響があります。
顎関節への影響
顎は顎に付着する筋肉が適切な運動をすることによって、顎の関節の動く範囲内で生理的に動きます。顎に付着している筋肉が極度に疲労すると関節の周囲に痛みが起きますが、この筋肉に由来する痛みは顎関節症の症状の一つです。ガムを日常的に何回も強く噛みすぎると筋肉が痛み、顎関節症の症状が出てくる可能性があります。
歯へのダメージ
強く何回もガムを噛むような習慣がある人は歯の表面のエナメル質が磨り減ってかみ合わせが変わってきます。かみ合わせが深くなり下の前歯が上の前歯の裏側に当たって突き上げられるため、上の前歯が前にでてきたり前歯に隙間が空いてきたりしてきます。また、エナメル質が薄くなっていくので熱いものや冷たいものを食べたときに知覚過敏にもなりやすいです。
頭痛
噛む筋肉が極度に疲れていると頭痛の回数が増えます。特にストレスがたまっているときには頭が痛くなりやすいです。
フェイスラインへの影響
噛む筋肉が発達してくるとその筋肉が付着している部位の骨が隆起してたくましくなってきます。そのため、顔はエラが張って四角くなり、かみ合わせも深くなります。臼歯を見ると磨り減っていることが多く噛む面積が広くなっていますが、このように歯がすり減ると下顔面がつぶれてきてオトガイが目立ってきます。わかりやすい例を挙げると、入れ歯のおじいさん、おばあさんが入れ歯を外したときを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。この場合の矯正治療は歯科矯正用アンカースクリューを併用して短くなった下顔面を平均値に近づけるような治療をします。
また、左右どちらかの噛み癖がついてしまっている場合にはそちら側の筋肉・骨が発達するため顔の形が左右非対称になってきます。頭が傾いていると重心を保とうとするため傾いている側と反対側に噛み癖が現れてきます。