乱杭歯があると歯磨きがしにくい
乱杭歯や八重歯など歯並びが悪いままですと歯ブラシがしにくくどうしても歯と歯の間などに磨き残しができてしまいます。よく経験するのは歯並びがまっすぐになってくると重なって隠れていた部位に虫歯の穴や歯石がはっきりと現れて患者さんが驚くこともあります。
プラークから歯石へ
歯茎が腫れている歯肉炎の方も矯正治療の患者さんに見かけます。歯茎が腫れるのはプラーク(歯垢)が溜まっていることで腫れます。時間がある程度たつとプラークは固い膜を作るため歯ブラシでも落ちにくくなり、さらに放置すると唾液中のカルシウムで歯石になります。
殺菌剤CHX配合のうがい薬
厚生労働省が認める殺菌成分であるグルコン酸クロルヘキシジン(CHX)入りのうがい薬を使用し口腔内の細菌の繁殖を抑え歯肉炎や歯周炎を予防します。市販のものですとコンクールという商品名で売られています。
10代の子供でも唾液が粘ついて歯周病特有のくさい臭いがしている患者さんにはフッ素磨きの代りにグルコン酸クロルヘキシジンを使用してクリーニングしていますが自宅でも3か月その歯磨きをやってもらうと口臭が消え唾液もさらさらになってきます。
歯周病が早産リスクを上げる
歯周病菌は歯茎から血が出ていると血管内に侵入して全身に炎症を起こします。これが動脈硬化の原因の一つとされ、脳卒中などの重篤な症状にもなる可能性があります。この炎症が起こるとプロスタグランジンという物質が出ますが、これが早産を引き起こす物質です。妊娠中はただでさえ歯茎が腫れやすいので出産前に歯並びを整え定期的なクリーニングをしておきましょう。早産のリスクを避け笑顔で出産できるように歯並びやかみ合わせを整え歯磨きがしやすい状態を作ることもお勧めします。
虫歯の原因菌は脳卒中のリスク因子
口腔内の細菌は全身をめぐる
日本人の死亡原因の第一位はがん、第二位は心疾患で第三位が脳卒中、第四位が肺炎です。特に脳卒中はやってしまうと半身不随など重篤な後遺症が残る場合が多く、生活の質に大きな影響を与えてしまいます。この脳卒中の新たな危険因子として虫歯菌であるストレプトコッカスミュータンス菌(以下ミュータンス菌)が挙げられています。深い虫歯や歯茎がはれたりして血液中にこのミュータンス菌が入ると、脳の血管の中にも巡っていくわけです。
ミュータンス菌が傷を治りにくくする仕組み
通常、怪我などで出血したときには動脈でも切らない限り、自然と血が止まりますよね。これは血管が切れても血小板が穴の開いたところに集まり血を止めてくれるからなのです。ところがミュータンス菌に感染していると血小板ではなくミュータンス菌がコラーゲンと結合するたんぱく質(CBP)を使って破れた血管壁に集まり、血が止まりにくくなって悪化させてしまうのです。このような理由から、ミュータンス菌は、脳卒中の危険因子と考えられるようになっています。これまで、ミュータンス菌の全身、特に生活習慣病への影響は良く分かっていませんでした。