母乳と哺乳瓶の飲み方の違い~咬み合せと顔立ちへの影響~

赤ちゃんが母乳を飲むときの舌の位置

弱い力が習慣的にかかっていると歯が動いて骨を変える。これは当院が開業当初から一貫して治療に応用してきた医学原理です。小児はもちろん成人でも口呼吸などよくない習慣や癖は弱い力がかかり筋肉・神経系から骨までその悪い癖に適応して徐々に変わっていきます。

母乳と哺乳瓶の赤ちゃんの飲み方の違い

母乳の飲み方の特徴ですが、ピンク色で塗ったところが唇で、吸っている時は上唇も下唇も外向きに開いていることがわかります。赤色で塗ったところが舌です。母乳を出す反射が起きないと母乳が出ませんので舌とあごを運動させてミルクを飲みます。一方、通常の哺乳瓶では唇が外開きではなく内側に丸め込まれることがあります。また、ミルクも唇で押すだけで楽にミルクが出るため(特にシリコン製)舌を挙上するための筋力が不足し低位舌になることがあります。

低位舌の歯並びと顎への影響

舌やあごを使わなくても唇だけで楽にミルクが出るということは、舌を挙上しなくても良いということですので、舌が低位のまま哺乳することになります。さらにシリコン製で飲み口が硬い場合はさらに舌が挙上しにくくなるため低位舌を助長します。正常な舌の位置は舌の先端が上顎の前歯の裏の付け根付近(スポット)にあり、舌全体は上顎の口蓋全体にぴったりと付いています。一般に低位舌になると舌の先端が下顎の前歯の裏に位置し、舌全体が下顎や気道へと落ち込んでいます。

低位舌が習慣化すると咬み合せや顔立ちが平均からずれてきます。まず、舌が下に落ち込んでいるために上顎の内側から押す力がなくなるため、上顎の横幅が狭くなり叢生(歯のガタガタ)が起こりやすくなります。

また、低位舌では舌根部が気道の方に落ち込んでいるため気道が狭くなり呼吸が苦しくなります。そのため呼吸しようと下顎を前に出そうとしますので、徐々に受け口になっていきます。

お勧めの哺乳瓶

母乳と哺乳瓶では歯と顎が唇、舌から受ける力のバランスが変化するため咬み合せや顔立ちに影響を及ぼす。ミルクを飲むときの唇の向き、飲み口の硬さ、ミルクの出やすさに気をつけて哺乳瓶を活用したい。唇ではさんだだけでミルクが出るタイプの哺乳瓶よりも、飲み口が軟らかく舌で口蓋に押しつけないとミルクが出ないようなタイプを選ぶと良い。

現在のところ上記の条件をすべて満たす哺乳瓶はありませんが、舌が口蓋に挙がりやすいこのような形をした哺乳瓶があります。根元のところも唇が外開きになりやすそうです。これにさらにミルクが出やすい/出にくい、口蓋に押し付けないとミルクが出ないタイプなどのバリエーションがあれば良いです。

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