ガミースマイル治療にはいくつか治療法があります。たとえば両顎手術が昔は一般的でした。矯正歯科でアンカースクリューを使って重度のガミースマイルでも治療できるようになる前まではガミースマイル=骨切り手術という図式が多かったように思います。確かに両顎手術がみなさんできればよいのですが両顎手術にはさまざまなリスクがありますので躊躇する方も少なくありません。
またあまり上唇が上に引きあがらないようにするためにボトックスを打つという方法もあります。笑いたくても上唇が上がらないことは表情の観点からいかがなものかと思いますし、ボトックスを一生打つのかという疑問も生じます。
現在は歯茎の骨からガミースマイルを根本的に治す方法としてアンカースクリューを併用した矯正歯科治療が広く行われていますが歯科ではこの治療が無かった時代はどうしていたかというと、審美歯科で歯を削り短くして歯茎をめくって歯槽骨を削って短くして被せものをしていました。他には上唇の裏側の粘膜を一部切除して短くなるように縫合していたのです。これを「上唇粘膜切除術」といいます。この方法はしばらくの間は上唇があがらないので歯茎が見えないのですが、笑ったりにしゃべったりして日常生活を送るうちに次第にまた上唇が引き上げられ笑った時に歯茎が見えてきてしまいます。
この記事では他院で上唇粘膜短縮術を行ったがまたガミースマイルにもどったという再治療の患者さんの症例を見てみましょう。




術前のスマイルの様子から歯茎が見えガミースマイルになっていることがわかります。口腔内の特に左右から見た写真から上唇粘膜短縮術を行った切開の痕が見えます。ではアンカースクリューを使って矯正治療をした後の様子を見てみましょう。




アンカースクリューを併用して矯正治療した後では笑っても歯茎は見えません。これはアンカースクリューを歯茎の上方に打ち歯・歯茎・歯槽骨ごと数か月かけて「圧下」したことで歯茎ごと短くなったからです。口腔内は口ゴボも治療したため抜歯されアングルClassⅠ咬合でフィニッシュしています。
まとめ
ガミースマイルの治療のうち上唇粘膜短縮術という唇の裏側の粘膜を切開して短く縫合する治療法は最初はいいが次第に歯茎が見えるようになり結局ガミースマイルになってくる。根本的な治療法は両顎手術か時間がかかってよいならアンカースクリューを使った矯正歯科治療がある。